One Day~君を見つけたその後は~
だけど、その話はそこで中断した。

俺の反応を楽しんで話の続きをじらすチョコのその先に、俺が決めた今日の“目的地”が見えたからだ。


俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。

……よし。


「チョコ、この話はまた後な。ここに入るぞ」


その店は、俺が生まれて初めて入る、貴金属店だった。


「え? ここ?」

チョコが驚いた声をあげて、俺の顔を見上げた。


「来週……二十六日ってチョコの誕生日だろ? だから少し早いけど、誕生日プレゼント」



いつも二人でブラブラ立ち寄る店とは違う、高級感漂う店構え。

その自動ドアの前に立つと、ガラス扉の向こうに立つ黒いスーツを着た店員と目が合った。

俺たちに向けられる、眩しいほどの営業スマイル……


……かなりの気合いがいるな、これは。


「ほら、行くぞ!」


その言葉は、チョコに言ったのか、自分自身に言い聞かせたのか、よく分からなかった。

ただ、自動ドアを通り抜けていると、傍らでチョコが気弱そうに「えぇー」と呟くのが聞こえてきて。


オイ、何だよその不安そうな声は……。

店に足を踏み入れたばかりだというのに、俺はすっかり不安になってしまっていた。

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