One Day~君を見つけたその後は~
そして迎えたチョコの誕生日当日。

日が変わる瞬間は、さすがに家まで押しかけるわけに行かないから、自分の部屋から零時きっかりに携帯を鳴らした。

「誕生日おめでとう。いい一日になるといいな」

ありがとう、と応える電話口のチョコの声も弾んでいた。


よし、上々の滑り出した。

……そう、ここまでは簡単だったんだ。


だけど問題はその後、チョコが生まれた時間──夕方の四時過ぎ──だった。


既に春休みに入っていたその日、俺たちは朝から他高との合同練習をやっていて、終日学校のグラウンドにいた。

練習が終わったのは、チョコとの約束時間の三十分前。

それは、次の電車に飛び乗ればかろうじで間に合うくらいの、ギリギリの時間だった。


「ヤマタロ、悪いけど駅で待っててくれ!」

そう言って、自分の制服とバッグをヤマタロに押しつけると、俺は着替えも片付けもせずに、猛ダッシュでグラウンドを後にした。


そうしてチョコの家の前に着いたのは、約束時間のほんの三分前だった。

俺は屋敷の下からチョコに電話をかけた。

「今、家の前にいるんだけど」

その言葉で、塀の向こうの屋敷の窓からチョコが顔を覗かせる。


それはあまりにも遠くて、豆粒みたいだった。

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