One Day~君を見つけたその後は~
「隙あり」

ヤマタロに、突っ張っていた片手を勢いよく払われた私は、バランスを崩してそのまま後ろ頭から床に倒れてしまった。

「痛いっ!!」

次の瞬間、目の前に広がったのは、その模様まではっきりと覚えている見慣れた天井。

そしてその単調な視界の中に、ゆっくりと、ヤマタロの顔が割り入ってきた。



「いい加減、覚悟決めたら?」



そう言うとヤマタロは、余裕たっぷりの表情で私を見下ろしながら、その手を私の頬に伸ばしてきた。

ヤマタロの温かい手が私に触れるっていう、たったそれだけのことなのに、私はもうドキッ! として、体がピクン! って固まって。

身動きのとれなくなった私は、ただ、無駄に色っぽいヤマタロの顔をぼーっと見上げることしか出来なかった。

なんかもう、私、涙目なんだけど……。

「深月のそーいう顔、もっと見たい」

クスリと笑うヤマタロの顔が、ゆっくりと下りてくる。

「……でも……」

「でも、じゃなくて」

「いや……でもね……」

「うるさいなぁ」

あれ?

それまで甘く囁くように聞こえていたヤマタロの声が、微妙にイラッとしたものに変わった。

そして苛ついた声で更に一言。


「早くしないと、時間がないんだから……」

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