One Day~君を見つけたその後は~
「ねえ、荷物はどうしたの?」

「ヤマタロに預けてきた。多分部室か駅で待ってると思う」

「もーう、陽人ってばサイコーだね!」


その台詞、これで二度目だぞ。

しかも人の顔を見て笑いすぎだ。

嬉しいのか? それともおかしいのか? 一体どっちなんだ?


すると次の瞬間、笑いの止まらないチョコが汗臭い俺に飛びついてきた。

「おいよせ! 俺、汗臭いんだからっ」

「そんなの気にしないよー」


チョコは相変わらず、柔らかい花の香りがした。


「プレゼント・・・・・・本当にこんなのでよかったのか?」

「うん、最高! 一生忘れないよ。来年もまたお願いね!」


そう言うと、チョコは「えいっ!」と飛び跳ねて、俺の汗だらけの頬にキスをしてくれた。



……はぁー、もう。



その時のチョコの笑顔がとびきり眩しくて。

チョコにキスされた頬から、体中の力が一気に抜け落ちていくようで。


チョコを祝うはずだったのに、チョコより俺の方が幸せな気分になってしまった。



だから、俺は、すっかり満足していたんだ。

これで来年のチョコの誕生日も決まりだな、なんて。



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