One Day~君を見つけたその後は~
だけど、今年に入ってすぐのことだった。

「陽人、今年のチョコの誕生日は何か考えてるのか?」

まだ三ヶ月も先の話だと言うのに。

休み時間に俺にそう聞いてきたのは、ヤマタロだった。


「いや、まだ何も。まぁ、去年と同じことをするだろうなー」

「……それもいいけど、ちょっと見てみろ」

そう言うとヤマタロは、その顎で、深月とチョコが話をしている方向を指した。

「……なんだ?」

俺が二人の方向に視線を向けると、
チョコが「キャー」と嬉しそうな声を上げながら深月の胸元を覗き込むところだった。

そして深月も、なんだか首回りをくすぐったそうに触りながらニヤけている。


そして俺と一緒にそんな二人の様子を眺めていたヤマタロが、こう言った。

「俺、深月にクリスマスプレゼントやったんだよ」

「……何を?」

「首輪」


……首輪?


よく見ると、確かに深月の首には何かが巻き付いていた。

キラキラと輝いているように見えるけれど……あれってまさか鎖か?

……いや。まさか、な。


俺はもう一度ヤマタロの方に向き直ると、ため息をついた。

「お前、そういうところはぬかりないよな……」

「遊びに行ったついでだよ。そんな高いもんじゃないし」

「そりゃまぁ、首輪ならなー」

「……」


……何だ?

ヤマタロの冷たい視線が突き刺さる。


「その目は何だよ。言っておくけど、俺だってあれが本物の首輪じゃないことくらい分かってるからな?」


「バーカ、いいからチョコをよく見てみろよ」

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