One Day~君を見つけたその後は~
……どういうことだ?

チョコは俺が逃げ出さないようにぎゅっと腕を捕まえたまま、指輪を物色し始めた。

「陽人ってサイズ何なんだろー。かなり大きいよねー」

……ちょっと待て。

もしかして、ふたつって……俺に指輪をさせる気なのか?

「あ、これだったらサイズいっぱいあるし、いいんじゃない? ほらっ、はめてみて!」

そういってチョコがつまんだのは、シンプルなシルバーの指輪。

だけど……だけど……ちょっと待て!


「無理だ! 俺は指輪なんて、絶対無理だー!」

「ダメー!私は二人一緒がいいの!!」

「イヤイヤ困る! 絶対困る!!」

「いいじゃんっ! 私の誕生日プレゼントなんでしょ? 陽人とお揃いがいいんだよーっ!」


うわぁ、もう、勘弁してくれ。
本気で目眩がしてきたぞ。

だけどチョコは、俺の言うことなんて聞いちゃいない。

呆然と突っ立ったまま固まっている俺の手をしっかり取ると、

「陽人って意外と綺麗な指してるんだから、絶対指輪も似合うよー」

そんなことを言いながら次々と俺の薬指に指輪をはめて、サイズを確かめている。


……いやいや、そんなことはないぞ。

俺に指輪なんて、似合わないだろ?

どう考えても無理だって!


「……いいよ。買ってくれないんだったら、私が自分で買おうーっと」

「待て! チョコが買うくらいなら、俺が出す!」


……やばい。

言ってすぐに後悔した。

だけど気がついたときには既に時遅しで。


隣ではチョコが「言ったな?」と、ニヤリと笑っていた……。
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