One Day~君を見つけたその後は~
今、俺は行きつけのネカフェからこのメールを書いているんだ。
ネカフェって、分かるよね? インターネットカフェの略だよ。
訳あって、俺は毎週土曜日の15時から18時は、用事がない限りいつもここにいる。

席もだいたい決まっていて、お店の一番奥に設けられた「コミュニケーションエリア」。
店で主流の個室ブースとは違って隣の席との仕切りが一切ないオープン席なんだけど、ここの面白いのが、利用者同士の雑談が許されていることなんだ。

定員は8人。
4席ずつ向かい合うように設置されたこのスペースは、意外と開放的で居心地がいいんだ。
私語OKって言っても、みんな黙って各々作業をしていることが多いし。
周りの客がうるさいと思えば、ヘッドホンをして音楽を聴けばすむ話だしね。

それと、このオープンスペースって、ネットゲームをする連中が多いんだ。
彼らとの交流があるとすれば、大体オンラインゲームの情報交換だね。

店側もそのことをよく分かっていて、ゲームの無料お試しサービスがあったり、CPUに負荷のかかるネットゲームにも対応できるように個室ブースよりも高性能なPCが設置されていたり。
個室にくらべて料金も安いし。
うん。
なかなか、オイシイことが多いんだよ。

だって、きびきび仕事をしてくれないPCなんて、それだけでストレスになっちゃうからね。
それでなくても、店のPCより俺の部屋にある母艦(メインで使ってるPCっていう意味だよ)のほうがはるかにハイスペックなんだし。

……え?
だったらネカフェなんて行かずに家のPCで遊んでいればいいのにって?

まあね。
そう言われてしまうと返す言葉が見つからないんだけど……。


でも、俺には、どうしてもここに来ないといけない理由があるんだ。

< 93 / 179 >

この作品をシェア

pagetop