One Day~君を見つけたその後は~
キヨちゃんにからかわれながらも無事任務を遂行して顔を上げると、向かいの席に座っているサラリーマンとばっちり目が合った。

推定30代前半のこの男の人も、やっぱりお店の常連さん。
毎週土曜日のこの時間にはいつも顔を合わせるんだけど、話をしたことはほとんどないんだ。

彼も仕事の空き時間なのかな? やっぱりキヨちゃん狙いだったりして!


そういえば、彼も黒縁メガネをかけているんだけど、キヨちゃんは彼のことを“名字+ちゃん付け”で呼んでるんだよね。
なのにどうして俺だけ「メガネ」なんだろう? 絶対不公平だよね!


そのメガネのサラリーマンは、ぽかんと口を開けて、『オマエ絶対ヨダレ出てるだろ!?』って言いたくなるような(言っちゃ悪いけど)マヌケな顔をしてたんだ。

だけど俺と目が合った途端、はっと我に返って。
ずり落ち気味だったメガネを慌ててかけ直すと、手元のキーボードをカタカタ鳴らし始めたんだ。

でも、モニターを見つめている目が完全に泳いでいたこと、俺は見逃さなかったよ。


……もしかして、キヨちゃんのシモベ役を代わって欲しかったのかな?

そんなにいいものじゃないんだけどなぁ。

でも、どんなに頼まれても、絶対に代わってなんてやらないけどね。

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