17歳
二人が私に気付かないうちに、そっと部屋へ引き返した。

「あれ?早かったね」

「うん、トイレ混んでたから」

何もなかったふりをしてソファに腰掛ける。
まだ心臓がドキドキしていた。

もう誠司のことは思い出したくなかったのに…

明るい歌を歌って気を紛らわそうをするけど、どうしても心のモヤモヤが晴れない。

「友香?なんか元気ないね」

「んー、ちょっと頭痛いみたい」

「大丈夫?じゃあ今日は早めに帰ろっか」

「うん、ごめんね」

2時間のところを1時間で切り上げて、私たちはカラオケを出た。
麻衣とはバス停で別れて別々のバスに乗る。
1番後ろの席に座って、滲んだ涙を隠した。

その日の夜、私はコースケから渡された紙を取り出して広げてみた。
今日はもう誠司のことを考えたくない。
掛けてみようかな…
しばらく迷った後、私は非通知でコースケに電話を掛けた。

「もしもし」

「…コースケ?」

「うん。友香?」

「どうしてわかったの?」

「なんとなく掛かってくるような気がしてたから」

口のうまい奴、と思いながらも悪い気はしなかった。
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