THE CANCEL
「せんねん……ざくら……?」
カクンと首を傾げる
「そうだ
聞いたことないか?
『願を懸けるとその願いを叶えてくれる』――
そんな言い伝えがある桜」
嘉陽はしばらく何かを考え、口を開いた
「わかんない」
「そうか……
今度お父さんに連れていってもらうといい
俺の方から兄貴に言っておくからさ!」
そう言うと、またクシャクシャに頭を撫で、稽古に戻った
嘉陽も、水道で顔を洗ってから稽古に戻る
「おい、おまえら!!
そこでへばってる場合か!
素振り五千本!! 休憩はなしだ!」
先程の試合で嘉陽に負けた男子、ざっと二十人
負けたと言っても、皆全国までいけるほどの実力の持ち主
「ちょッ……
先生!それはないっスよ!!」
「ヒロが天才だって知ってますよね!?」
「先生だって、さっき負けるかもって言ってたし!」
口々に不満を漏らしながらも、根が真面目なのか、言われた通りに素振りを始める