THE CANCEL
嘉陽が初めて竹刀を握ったのは、嘉陽が三歳の頃だった
父親がやっていたのと、叔父が道場を営んでいたのが理由だった
始めはただの棒振りだったが、本格的に教え始めるとメキメキと上達し、頭角を現していった
――本当に、文句一つ言わずよくやってきたな……
昂自信、『天才』と呼ばれてきたのだが、嘉陽はそれを遥かに凌ぐほどの才能
――まさに『神童』だな
しかし、嘉陽に備わっているのは才能だけではない
嘉陽は人一倍負けず嫌いであり、努力家なのだ
現に今も、男子に混じって一緒に素振りをしている
昂はフッと笑い、手をパンッと叩いた
「そこまで!
今日はこれで終わりだ」
外はもう日は落ち、暗くなっていた