クールな彼氏【短編】
いった…いっ。
走ってたままの勢いで角を曲がったあたしは、誰かとぶつかってしまった。
…って、早く謝らなきゃ…っ!
「あの、すいません…っ!
えと、あの…っあたし!急いで…前も見ないで走ってっ。
それで…っ」
あぁ、もうっ!
何だか慌てて、無茶苦茶になってしまうあたし。
…あたしのばか!!
「や、大丈夫です…っ。
そっちは大丈夫ですか?」
優しい声にホッとして顔をあげる。
「あっ、河野先輩っ」
そこには可愛い感じの男の子。
…って、ん?
今“河野先輩”って言ったよね?
「えっ、いやっ!
いきなりすんませんっ」
あたしが不思議そうな顔で見つめると、
男の子はあたふたした様に答えた。
てか、何であたしの事、知ってるの…?