ラヴァーズ・ゲーム
背中から、怒りと悲しみみたいなもの、複雑な気持ちが溢れ出ているように、時雨は感じた。


幼い頃から辛の事を知っている時雨は、


彼女の抱えるものも、全て知っていた。


だけど、


自分に出来る事など、いつも解らなかった。


今も、こうやって追い掛けているのに。


時雨は掛けてやる言葉さえ持っていないのだ。


そんな自分の不甲斐なさに、拳を握る。


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