新撰組と一人の少女-sinzyu-(再)
そう諦め掛けた時。
部屋の隅にいた男の人が口を開いた。
「土方さん。この者の部屋は。」
「ああ。この部屋の5つ向こうの部屋だ。」
それを聞くと、その男の人は私の前に立つと、「ついてこい」と言った。
「は、はい!!」
私は軽く頭を下げて、ゆっくり障子を閉じた。
その男の人の後ろについていく。
私より、結構背が高くて、服装もキチンとしている。
見た感じ、顔はイケメンで、クールっぽい。
「ここがお前の部屋だ。」
「わ……。広い…」
私がきょろきょろと、部屋中を見つめた。
「何かあったら、幹部に伝えろ。では。」
「ちょ…ちょっと待ってくださいっ!!」
「……なんだ??」
「有難うございます。…それと、お名前は…??」
「……【原田 左之助(ハラダ サノスケ)】。」
「よ、宜しくお願いします!!原田さん。」
「…ああ。」
…たすけて…くれたんだよね。
あの空気から、抜け出させてくれたんだよね。
いい人……だったな…。