新撰組と一人の少女-sinzyu-(再)
───「夕飯を持ってきました」
障子を開けると、張り切って言った。
相変わらず幹部の人たちの視線や態度は冷たかったけど、私はいつでも笑顔でいた。
皆さんの役に立つ…それが私、壬生浪士としての目標!!
そして最終的にはパパの仇を討つ!!
そのために、しっかり頑張るつもり。
「はい。」
私と佳代ちゃんと花見ちゃんが、次々と夕飯を置いていく。
皆さんが食べ始めると、私の心は緊張と不安が混じり合った感情でいっぱいになった。
「…お味はどう…ですか…??」
恐る恐る聞いてみる。
幹部の人たちは無表情。
でも、土方さんだけが答えてくれた。
「この漬物は辛い。白ご飯は無駄に硬いし、味噌汁は味噌が薄い。」
「うっ……」
土方さんの言葉は、一つ一つが痛い。
私はうつむいたまま黙っていた。
でも……
「だが、頑張って作ったのがわかる味だ。」
「え……。」
私の心に小さな明かりが見えた。
(嬉しい…。)
「…その手を見れば分かるけどな。」
「えっ!???」
私は傷でいっぱいの手を後ろに隠した。
無表情だった幹部の人たちの顔に笑顔ができてた。
私も嬉しくなって笑う。
「やったね。」
佳代ちゃんがウインクした。
私は大きく頷いた。