君だけを
光は女子に囲まれ、お得意の持ちネタで
爆笑をよんでいた。
僕は女子の周りにいたら
可愛い~
とか言われるタイプだった。
確かに少し背は小さいけどさ....
僕は可愛がられるのが苦手だった。
天然で可愛い、癒される。
だなんて高校生の男子に言ったらもう
褒め言葉なんかじゃないよ。
僕は先生がくるまで机にうつぶせになっていることにした。
気持ちよくうたた寝をしていたら
ガタガタッ
かすかに音がした。
僕は顔をあげた。
え....あれ。えっとー
ちょっと待たないか。
ここは、僕の机です。
それなのに一体この状況は....
みえた景色は
女の子の。
今朝の女の子の。
顔。が、司会一面に広がっていた。
えっと、顔
ちかっ....!!!
女の子は僕の顔をのぞきこんで
しきりにまじまじと見ていた。
しばらく目が合う。
彼女は目を逸らさず、言葉も発しず、僕を見ていた。
「な、な、なに!?」
声が裏返る。
「ごめんなさい....松岡くん....ですか。あ、朝の人ですか。
朝はどうもでした。」
「へっ!えっ!はい!いえいえ!松岡!松岡です!」
(やっべ!顔赤くないかな///)
「そうですか....じゃあゆいの席はここですね。」
「聞いてくれたらよかったのに....///
大体顔見てても名前なんか浮かんでくるわけないじゃん!(笑)」
「それも....そうですね?あはは」
笑った....
君が笑った。
初めて見た君の笑顔は
とっても綺麗だった。
それにしても天然なのかこの子は....(笑)
ってことはつまりこの子が椎名さんか。
「よろしくね、椎名さん。僕松岡春樹!」
椎名さんは自分の名前をなぜ僕が知っていたのかわからなかったのか
大きな目を丸くして驚いていた。
「驚いた?僕はね、椎名さんと違って顔を見たら名前がわかるんだよ(笑)」
ちょっと意地悪な冗談を言うと君は
「す、すごい!」
本気で感心していた。(笑)