君だけを
~第四章~無口な椎名さん。

新学期が始まった。

椎名さんは相変わらず無口だった。

僕はというと暇な授業がくだらなくて

居眠りしたりしてしょっちゅう先生に

「おっきろー松岡ー」と注意されていた。

そのたびに椎名さんはクスッと笑うのだった。

僕はその顔が何度だって見てみたかった。


本当はいつしか

好き?になっていたのかもしれなかった。

だけど

でもシャイな僕には

何も出来ずに月日が流れて行った。


椎名さんはきっと僕なんか

見てはくれないだろう。


月日は流れ

席替え前日。

僕は椎名さんの隣を誰にも譲りたくない気持ちだった。

だけど



そんなことは通じなくて。


最後の椎名さんの隣の日

僕は椎名さんに勇気をだして話しかけた。

「あっあのさ!教科書....忘れちゃった!見せてよ!」



教科書を忘れたなんて嘘。

ちゃんと机の中にしまってある。

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