君だけを
椎名さんはうなづいた。

僕は椎名さんの机に自分の机をくっつけた。

教科書なんて頭にはいってくるはずがなかった。

風がふくと椎名さんの髪が揺れ

かすかにいい香りが僕の鼻をかすめる。

僕は教科書を見るふりをして

自分のノートに落書きをしていた。

椎名さんは黒板をずっとみていて

僕なんかに興味はなさそうだった。

しばらくかいているうちに

視線を感じた。

椎名さんが見ている!?

僕が椎名さんを見ると笑っていた。

あれ?椎名さん僕のノートみて笑ったのかな?

だとしたら筆談もできる?!

僕はノートに

椎名さんへの質問をたくさん書いた。

好きな季節は?
1春
2夏
3秋
4冬

椎名さんは人差し指を立て

1、と答えてくれたりした。

しょうもないことを椎名さんに沢山聞いた。

椎名さんは楽しそうに何度も答えてくれた。

キーンコーンカーンコーン....

チャイムがなる。

いつもなら長く感じる授業が

一瞬で終わった。

チャイムがなったとき椎名さんがノートの隅に

何やらかいた。

授業中筆談、始めてでした。嬉しかったです。
ありがとう。


僕はすごく幸せになった。
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