君と僕のボーダーライン
006
『咲絢……』
気づくと、私の瞳からは止めどなく涙が溢れていた
高杉君は困ったように眉を下げて、せつなげな声で私の名前を口にした
この前も今も、優しいのは家族になるからだったんだ
名前を呼ばれるたびに心臓は疼くけど、名前で呼ぶのは家族になるから
もう、高杉君は私が告白したこと覚えてないのかな
私、また告白したわけじゃないのにまた振られたみたいだ
高杉君はもう再婚の事だけじゃなく、私と兄妹になる事も受け入れてる
それは、好き、なんて感情を抱いてない証拠。
『やだ…嫌だよ。高杉くん…っ』
好きなんだよ、あなたの事が
なりたいのは兄妹なんかじゃない、そういった意味での家族でもない
…恋人に、なりたい。
家族になるなら、あなたの妻になりたい
それはもう、叶う事のない夢ですか?
離れても、時間をおいても、消えないこの想いはどうすればいい?
私だって幸せになりたい。
他でもない、高杉くんと。