君と僕のボーダーライン
一人っ子って聞いていたから少し驚いた。
けど、離婚してお母さんが連れていってしまったのだとしたらそうなってしまうか、と自己解決しながらも聞いてみる
「五年前にね、母さんと事故で亡くなったんだ。」
『えっ…ごめん、私…』
てっきり高杉君の家も離婚したんだと思っていた
そっか、それだけじゃないんだ別れって。
聞いちゃいけなかった、と申し訳なくて謝ると、高杉君は優しく笑ってまた、ふわりと私の髪を撫でた
「いいよ、もう引きずってないから」
この時分かったんだ。
高杉君が優しいのは、私と家族になるからかもしれない。
だけど、こんなによく髪を撫でてくれるのはきっと、妹さんと私を重ねてる部分があるから。
また少し切なくなる
この家にはきっとお母さんと妹さんの思い出がたくさん詰まってるはず
そんな大切な場所に私とお母さんが転がり込んできた事、高杉君はどう思ってるんだろう。
再婚も私と兄妹になる事も受け入れたとしても、お父さんがお母さん以外の人を愛する事、複雑じゃなかったのかな。
「それよりごめんね、当時九歳だったからぬいぐるみとかたくさんあってさ。これでも掃除して捨てたんだけど。いらなかったら捨てて、っていうかいらないよね」
『ううん、いいよ、可愛いし!大事な妹さんの思い出でしょう?大切にしてあげようよ。ね、高杉君』
窓の前にある棚の上に乗っていたぬいぐるみを高杉君が突然捨てるなんて言い出す。
きっと高杉君の事だから気を遣ってくれたんだろうけど、捨ててしまうなんて可哀想だった。