君と僕のボーダーライン
引っ越しをして初めての登校
いくら同じ家に住んでるとはいえさすがに一緒には通えない。
なのに…
「咲絢っ!もー何でおいていくんだよ。行くとこ一緒なんだから一緒にいこうよ」
『分かってないんだよ高杉君は』
そう、解ってないんだ。
高杉君は、顔良し、頭良し、性格良し、なすごい人
簡単にいえば一番身近なアイドルみたいな感じ。
アイドルっていうほど騒がれてる訳じゃないけど、十分女の子の視線を集めてるし、男の子もアイツには敵わない、なんて言ってる。
委員会で少し仲良くなった私は友達に羨ましがられたり、付き合ってないよね?なんて質問攻めにされたり
一緒に登校して、一緒の家に住んでいて、一緒の苗字になりました、なんて言ったらまたみんなに根掘り葉堀り聞かれるんだろう。
朝だけはそれから逃れたくて、早めに家を出たのに。
「何でもいいけどさ、まだ高杉君なの?」
『あ、うん…慣れなくて』
「言ってるうちに慣れるんだって。呼んでみて」
高杉君は私の気持ちなんて露知らず、隣を私の歩幅に合わせて歩く。
そういうところはちょっと紳士的なのに、名前で呼んでって迫ってくるのは少し意地悪で
こんな高杉君は知らなかったな、なんて思ったら家族になったことは決して悪い事じゃない、そんな気がしてしまった。