君と僕のボーダーライン
頭の中で神宮寺君が発したであろう言葉を何度も繰り返し再生する
どうして、知ってるの?
怖くなって一歩後ずさる
だけど靴箱の前に置かれたスノコに引っ掛かって、後ろにフラついた
「いや、そんなに怖がんなくていーじゃん。取って食ったりしねーし」
腕を引かれて、腰に手を回されて支えられる
また耳元にクスクス笑う神宮寺君の声が聞こえてくる。
「俺はたかと違っていいこだから」
『…何言って、』
「アイツはお前が思ってるような爽やかなイケメンじゃねえよ」
ぱっと私の身体を解放して神宮寺君は、手は出しません、とでも弁明するように手をひらひらと振る
さっき保健室までサボってたって言った神宮寺君が、委員もやっていたような隼人よりいい子なわけがない。
だけど、また違った真面目な顔をして神宮寺君がそんな事を言うから、私はどんどん困惑していく。
「今日アイツ帰り遅いと思う。で、すぐに風呂入ろうとすると思うけど、捕まえてニオイ嗅いでみ?」
『……ニオイ?』
「そ、そんで分かるよ。アイツが何してるか」
それだけ言うと神宮寺君はひらひらと手を振って帰ってしまう。
ニオイ…一体どういう事なんだろう。
心がざわついていた。
隼人が、私が思っているような人じゃない
それを知ればこの気持ちを忘れられるかな。
たとえ家族として最悪な答えでも、私に幕を引いてくれるなら…
だけど、運命は違っていた。
その答えは私が想像していたよりもっと残酷で…