君と僕のボーダーライン
「めっちゃ可愛い」
ぽつりと零れた言葉が聞こえた時、近づいてきた気配に私は咄嗟に目を閉じた
首をすくめて、身を固くして、ドキンと心臓が騒ぎ出した
「バカ、身構えすぎ」
「…っだって…」
クスクスと神宮寺君が笑い出して目を開けると、案の定、距離はすごく近かった
恥ずかしすぎて目は合わせられずに視線を落とす
そんな私に、神宮寺君はぐしゃぐしゃと髪を撫でる
「しないって、まだ。はい、お金あげるからあそこのクレープ買って来い」
「なんかその言い方、パシリみたいなんですけど」
「違う違う、好きなの食っていいから」
同い年なのに、子ども扱い
ちょっとむすくれてみるけど、余計子ども扱いされるだけで、ダメ。
だから仕方なく、すぐ近くのクレープ屋さんに向かった
結構な行列で、神宮寺君は並ぶのが嫌だったんだろうな
まだしない、その言葉に本当はドキドキしてた
同時に隼人の事も思い出して、少し心が苦しくなった
何にしようかな、そう考えて私は逃げるように二つの感情を遠くにおしやった