狂想曲


あれからまた知らないうちに眠ってて、起きてシャワーを浴びて着替えてから、私は用もなく家を出てスタバにきた。

カプチーノをすすりながらも、やっぱり考えるのは、昨日のこと。



「はぁ……」


ぼうっと外を眺めていた時、



「律! やーっぱりここにいたね!」


ひときわ甘い声が店内に響いた。



「百花かぁ」

「ちょっとあんた、何なのよ、その嫌そうな顔は!」

「っていうか、わかったから声大きいって」


少しは周りの目ってものを気にしないのだろうか。

この街に来て、百花と知り合って3年ほどになるが、たまにこんなのが親友だということが恥ずかしくなる時がある。


百花はぶうっとしながら私の向かいに腰を下ろし、



「律さぁ、あたし昨日何回も電話したんだけど、何で出なかったわけ?」

「あー……」

「何やってたの? 誰かといた? まさか、男?!」


あぁ、もう、めんどくさい。

そんなのこっちが聞きたいっていうか、それより大声出すなって言ってんのに。



「携帯、マナーモードにしてたから気付かなかったのよ。ごめん、ごめん」


適当に返す私に、だけども百花はさらに声を大きくし、



「あんた普段マナーモード使わないじゃん! なのに何で昨日に限ってそんなのにしてたわけ? やっぱ男といたんでしょ?!」


どうしてもそこに直結したいのだろうか。

私は口元を引き攣らせながら息を吐いた。



「何か奢るから、とにかくもう昨日のことは聞かないで」

「はぁ?!」
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