狂想曲
レオとの未来に賭けてみる、か。


今まで自由気ままに、夢見がちなことを言いながら生きてきた百花が、と思うと、私は単純に祝福してあげたくなった。

そして、それと同時に羨ましくもなった。



「いいなぁ、百花は」


また思い出したようにお腹が痛み始めて。

私は自嘲気味に漏らしながら、顔を伏せた。



「律はどうなのよー?」

「あー……」

「カレシと同棲したかと思いきや、いきなりうちに逃げてきて。いい加減、どうしてこんなことになってるのか聞かせてくれてもいいんじゃない?」

「………」

「律!」

「………」

「ねぇ、律ってば!」

「………」

「……律?」


刹那、急激に力が抜けて、私は膝から崩れ落ちた。


お腹が痛い。

痛すぎて死んでしまう。



「律?!」


全身から血の気が引き、手足が痺れて、呼吸すらままならなくて。

腹部は握り潰されたように激し痛みを放っていた。


百花はひたいに脂汗を滲ませてうずくまる私を揺する。



「ちょっと、大丈夫?! きゅ、救急車呼ぶからね! 律!」


焦りながら携帯を取り出す百花。

私は苦痛に顔を歪めながら、遠のく意識を手放した。

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