狂想曲
夜、キョウと一緒にベッドに寝転がって、私は無機質な天井を見上げた。
そしていつもふと思い出す。
お父さんが作ってくれたプラネタリウムは奏ちゃんに捨てられてはいないだろうか、と。
あれが唯一、私と死んでしまったお父さんを繋ぐものなのに。
なのに、取りに行くことはもうできないから、だから捨てられていないことを祈ることしかできない。
「……律?」
「うん?」
「何で泣いてんの?」
言われて、頬を伝うものの存在に気がついた。
私は急いでそれを拭う。
「何でもない」
お父さんの作ってくれたプラネタリウムに魅せられて、よく奏ちゃんと一緒に天体観測に出掛けていたこと。
それが高じて将来は『宇宙飛行士になりたい』と言っていた幼かった私。
走馬灯のように溢れる記憶を、私は無理やり抑え込む。
「ほんとに何でもないから」
考えないようにしているはずなのに、思い出す。
私の思考回路はどうかしているんじゃないかとすら思う。
過去はどうやったって取り戻せないのに。
「ちょっと、昔のこと思い出しちゃって」
キョウは私の言葉に何も返さなかった。
ただ、「もう寝ろよ」と言うだけで。
キョウと、私の、白昼夢みたいに続く、長い夜。