狂想曲
とにかく頑張っていたかった。
頑張らなければダメなんだと思った。
何をどうとかじゃなく、頑張ることだけが使命感のようになっていて、そうじゃなきゃいけないという強迫観念さえあった。
でも、仕事が決まらない中で、こんなことでどうするんだと自分を叱責してしまって。
きっとまだ頑張りが足りないからだと自分を叱咤した。
私はそうやって自分の世界の中だけでぐるぐるまわりながら、より深みにはまっていった。
「律、何やってんの」
以前買った料理のレシピ本を、穴が開くほど眺めていたら、キョウに声を掛けられた。
「これさ、ちょっと難しそうだけど、頑張って作ってみようかと思って」
「ふうん」
「私さぁ、頑張って料理上手になりたいんだよね。今はやる気で燃えてる感じ」
キョウは「そっか」としか言わず、私の頭を撫でた。
そして軽くキスをしてくるだけ。
ふわりとぬくもりが離れて、
「俺これからまた出掛けなきゃだから、あんま無理すんなよ」
相変わらず、キョウは私を抱こうとはしない。
どれだけ頑張っていても、私が仕事すら決まらないダメな人間だから悪いんだろうか。
仕事が決まったら、キョウはまた私を抱くようになってくれるだろうか。
ぐるぐるぐるぐる、そんなくだらないことが次々に頭の中に湧き上がってきて。
「いってらっしゃい」
でも、言えないまま、私はキョウを送り出した。
無意識に、トイレに足が向く。
私は考えるより先にうずくまって嘔吐した。
頑張らなければダメなんだと思った。
何をどうとかじゃなく、頑張ることだけが使命感のようになっていて、そうじゃなきゃいけないという強迫観念さえあった。
でも、仕事が決まらない中で、こんなことでどうするんだと自分を叱責してしまって。
きっとまだ頑張りが足りないからだと自分を叱咤した。
私はそうやって自分の世界の中だけでぐるぐるまわりながら、より深みにはまっていった。
「律、何やってんの」
以前買った料理のレシピ本を、穴が開くほど眺めていたら、キョウに声を掛けられた。
「これさ、ちょっと難しそうだけど、頑張って作ってみようかと思って」
「ふうん」
「私さぁ、頑張って料理上手になりたいんだよね。今はやる気で燃えてる感じ」
キョウは「そっか」としか言わず、私の頭を撫でた。
そして軽くキスをしてくるだけ。
ふわりとぬくもりが離れて、
「俺これからまた出掛けなきゃだから、あんま無理すんなよ」
相変わらず、キョウは私を抱こうとはしない。
どれだけ頑張っていても、私が仕事すら決まらないダメな人間だから悪いんだろうか。
仕事が決まったら、キョウはまた私を抱くようになってくれるだろうか。
ぐるぐるぐるぐる、そんなくだらないことが次々に頭の中に湧き上がってきて。
「いってらっしゃい」
でも、言えないまま、私はキョウを送り出した。
無意識に、トイレに足が向く。
私は考えるより先にうずくまって嘔吐した。