狂想曲
決着
私は涙を乾かしたくて、ずっと街をふらふらしていた。
気付けば夜になっていた。
レオから電話をもらったのは、そんなタイミングだった。
私たちは居酒屋で落ち合った。
「で、律さんは、奏さんと会って別々の道を歩むことを再確認して、おまけにキョウさんとも別れた、と」
ビールは何杯目になっていただろう。
私がぐでんぐでんになって今日の出来事を支離滅裂に話すと、いちいちレオは整理するように聞き返しながら、でも何だかんだで付き合ってくれる。
これじゃあ、どちらが年上なのかわからない。
「だからねぇ、私はひとりで生きてくのー。強い人間になってぇ、バリバリ働いてぇ、自立してぇ」
「わかったから。それもう4回目だよ」
「うるさいわねぇ。黙って聞いてなさいよー。“姉”に口答えするなー」
「はいはい」
完璧に絡み酒だった。
でも、私は誰にでもいいから吐き出したかったし、きっと、聞いてほしかったのだと思う。
レオだってそれがわかっているのだろう、文句を言いながらも帰ったりはしない。
「じゃあ、“お姉ちゃん”に聞くけど、これからどうするのさ。当てはあるの?」
「あったら私は今こんなとこでこんなことしてませーん」
ケラケラと笑う私を、レオはため息混じりに呆れた顔で見た。
そして私のグラスをひょいと奪う。
「あのねぇ、ぼくは真面目に律さんのこと心配してるんだよ」
ずい、と前のめりになったレオは、私を一喝し、
「こんなになるまで飲まなきゃいけないほどの悲しみを抱えた今のあなたを、このまま放っとけるわけなんてないでしょ」