狂想曲
困ったなぁ、と、思った時だった。

私の携帯が着信のメロディーを響かせた。


ディスプレイには【レオ】と表示されていた。



「噂をすればだ」


奏ちゃんにそれを見せてから、私は通話ボタンを押した。



「はいよー。どしたのー?」

「律」


声は、レオのものではなかった。

私は首を傾げてもう一度ディスプレイを見返すが、でもやっぱりそこには【レオ】と表示されている。



「……誰?」

「わからないのかい?」


ぞっとした。

まさかと思った。


これが悪ふざけであってくれれば、と。



「もしかして、パパ?」


ごくりと生唾を飲み込む私。



「正解だ。でもちょっと気付くのが遅いよ、律。パパの声、忘れてたのかい? 悲しいなぁ」


何で?

どうして?


パパがレオの携帯から掛けてくる意味は?



「レオは?」

「あぁ、レオか。レオなら今、隣で寝てるよ」

「寝てる?」
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