狂想曲
顔半分がじんじんした。
目も開けられないほどの痛みだ。
けれど、ここで助けを請えば私たちは負けてしまう。
私が、レオを、救い出してあげなきゃいけない。
「暴力で支配できると思わないで」
「偉そうに」
「大体さぁ、今まで我慢してたけど、あんた臭いのよ。オヤジ臭。マジでキモイ。おまけに自分のこと『パパ』とか言っちゃって、ほんと笑える」
私は、女で、非力で、何もできない人間だ。
怒り任せにパパは拳を振り下ろす。
肩口に、腹部に、パパの“怒り”が打ちつけられる。
それでも、レオを殺すよりはマシだった。
「もう終わり? これだからジジイは」
言い終わるより先に、ガッ、と、また殴られた時、頭部を床に打ち付けた。
私はついには嘔吐した。
「もうやめて」
声を上げ、よろよろと体を起こしたのはレオだった。
レオは倒れ込む私を庇うように前に出て、
「律さんが死んじゃう」
「安っぽいメロドラマだな。それが美しいとでも思っているのか」
「悪いのはぼくだ。ぼくが律さんをそそのかしたんだ。金のために、上手いこと言って律さんを巻き込んで、利用しようと企んだ」
「そうか。ついに白状したなぁ、レオ」
そんなの嘘よ!
と、叫びたかったのに、痛みで声も出やしない。
レオは、私のために、ひとりで罪をかぶる気なのか。
目も開けられないほどの痛みだ。
けれど、ここで助けを請えば私たちは負けてしまう。
私が、レオを、救い出してあげなきゃいけない。
「暴力で支配できると思わないで」
「偉そうに」
「大体さぁ、今まで我慢してたけど、あんた臭いのよ。オヤジ臭。マジでキモイ。おまけに自分のこと『パパ』とか言っちゃって、ほんと笑える」
私は、女で、非力で、何もできない人間だ。
怒り任せにパパは拳を振り下ろす。
肩口に、腹部に、パパの“怒り”が打ちつけられる。
それでも、レオを殺すよりはマシだった。
「もう終わり? これだからジジイは」
言い終わるより先に、ガッ、と、また殴られた時、頭部を床に打ち付けた。
私はついには嘔吐した。
「もうやめて」
声を上げ、よろよろと体を起こしたのはレオだった。
レオは倒れ込む私を庇うように前に出て、
「律さんが死んじゃう」
「安っぽいメロドラマだな。それが美しいとでも思っているのか」
「悪いのはぼくだ。ぼくが律さんをそそのかしたんだ。金のために、上手いこと言って律さんを巻き込んで、利用しようと企んだ」
「そうか。ついに白状したなぁ、レオ」
そんなの嘘よ!
と、叫びたかったのに、痛みで声も出やしない。
レオは、私のために、ひとりで罪をかぶる気なのか。