狂想曲
私たちはただの酔っ払いだった。
部屋に入ったそのままに、ふたりしてふらふらと辿り着いた寝室のベッドに倒れ込む。
雨音に染まる、暗く密閉された部屋。
「寝るなよ?」
キョウはこちらに顔を向けた。
数十センチ程度の距離。
私はむくりと体を起こす。
「じゃあ何するの?」
キョウの顔を覗き込む。
「離れろって。俺今ほとんど理性ねぇから」
それでも、その唇を塞いだのは私だった。
触れるか触れないかのキスを落とす。
「何してんだか」
諦めたように言って、キョウは私を引き寄せた。
今度はキョウが私にキスをした。
そのまま、キョウによって組み敷かれた。
キョウは何度も何度も、角度を変えて私の口内をむさぼる。
キョウの長い指に触れられる度に声が漏れる。
雨と、夜と、酒が、私たちを性急にさせる。
「キョウ」
熱っぽいその瞳を見上げた。
私はぬくもりを求めながらキョウの背中に腕をまわす。
深く、深く、繋がっていく。
「律」
キョウの声が耳に落ちた時、私は、悲鳴にも似た嬌声を漏らしていた。