狂想曲
キョウはまた私の服の中に触手を侵入させる。



「ちょっ」

「こんな色気のないつまんない話、いつまで続けんの」

「けど、もう無理だって」

「無理じゃないだろ」

「無理だよ」


それでもまた私の中に、意志とは別に熱が灯される。

キョウは、今度は遊んでるみたいだった。



「誘ってきて、自分だけ満足したら終わり?」

「んっ」

「俺まだまだ足りてないんだから、最後まで責任持てよ」

「あっ」


鼻に掛かった声が出た。



1回目の時のキョウは、優しかった。

だけど今度は、完全に私を服従させる。


無理やり口をこじ開けられて、キョウは容赦なく私の内側を侵食する。



「声出せよ。俺あんたの声好きだから」


私は、ほとんど無意味に近い抵抗さえもやめた。


元々酒に酔ってとろけていた思考だ。

考えることを放棄するのは簡単だった。



キョウは私を見降ろした。



「なぁ、律。俺の前ではいい子の仮面なんか捨てちまえよ。そんで、いい声で鳴いてろ」


呼吸までも絡め取られる。

快感が波のように襲ってきて、私は一筋の涙を零した。

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