狂想曲
沸々
6月になった。
キョウはまた私の前に現れなくなり、私は私の日常生活を繰り返す。
つまらないだけの、日常を。
「いやぁ、きみ可愛いねぇ」
パーティで、会場の花として酒を注いで回るのが、コンパニオンの仕事だ。
もちろんただ黙々と働くわけじゃなく、酒を注ぐがてら、話し掛けられれば談笑したりと、ちょっとキャバクラに近い感じ。
今日は大学教授の集まりに呼ばれていた。
「ほんとに可愛いよ」
「はぁ」
「うちの学生はブスばかりだ。その上、賢くない。まぁ、馬鹿でもきみみたいに可愛ければいいんだが」
オヤジはにやにやしながら私の尻を撫でまわす。
私はまた「はぁ」と適当な相槌だけ返した。
酒に酔った狸の相手は疲れる。
「きみ、いくらだい?」
「はい?」
「いくらくらいで男にヤラせているんだい? どうせ誰とでも寝ているんだろう?」
「はぁ、そうですね」
答えになっていない答えを返しながら、シャンパンをぶっ掛けてやろうかと思った。
ホストという仕事をしている奏ちゃん。
奏ちゃんは、毎日毎日、こんなにも苦痛なことをあの笑顔でやり抜きながら、ナンバーワンを固持しているなんて。
「律、ちょっとこっち来て」
百花が声を掛けてくれた。
そしてオヤジの背中越しに私にぺろっと舌を出して見せる。
ありがたい、助け舟。
私は百花の元に急いだ。
百花は「だるいよねぇ」と零しながら、