狂想曲
前のめりに聞いた私に、彼は「んー?」と首を傾げ、「なんて言ったらいいのかなぁ」と言葉を探しながら、



「えっとね、簡単に言うとね、律さん、パパとエッチしてるでしょ? ぼくもパパとエッチしてるの」

「は?」

「だからね、んっとね、パパ繋がりだし、ぼくも律さんと友達になりたいって思うのは普通のことでしょ?」


まず、この子が言ってる意味がわからない。

どう頑張っても理解できない。


言葉足らずで、説明不足。



「ちょ、ちょっと待って。それよりひとつ聞きたいんだけど、あなた男の子よね?」

「あれ? 律さん知らなかった? パパはバイだよ」

「え?」


今度は卒倒しそうになった。


パパは実はバイ・セクシャルだった。

そしてパパは、女の私だけじゃなく、この男の子も抱いている。



「あ、ぼくはただの売り専ボーイだから普段は普通に女の子が好きだけどね」


この子の性生活なんて正直どうだってよかった。

それより今はパパのことだ。



「それはつまり、あなたもパパからお金をもらってエッチしてるってことよね?」

「そうだよ。いつもお尻の穴いじられてる。おかげでユルユル」


ランチタイムのスタバに不似合いな単語を平然と放ちながら、目の前の少年は犬みたいに人懐っこい顔で笑っている。

くしゅくしゅの金髪が、余計にそれっぽくて。



「レオくん、だっけ? あなたいくつ?」

「レオでいいよ。ぼくは17」


私よりもふたつも下なのか。

そうだろうとは思ってたけど、でもこんな幼い子がどうしてまた売り専なんて。


けれども深くは聞かないのがこの街のルールだ。
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