貴女は僕の運命の人ではありませんでした
・・・正直、ウッと思った。
さっさと出掛けたかったのはコレが来るだろうと思ったから。
トモ以外の女に触れたくない・・・
「たかちゃん!!!チュウして!!!」
純はさっきよりもギュッとジャケットの裾を掴んだ。
・・・どうしたらいい?
急いでるから・・・と逃げるか。
それとも。口内炎があるから・・・は、この間使ったしなぁ。
純に申し訳ない気持ちが無いわけじゃない。
一応、“彼女”って立場な訳だし。
まさか、俺が本命の女と京都旅行にいくなんて疑ってもないだろう。
騙しているっていうのに、少なからず後ろめたさはある。
チラっと純を見ると、不安そうに眉毛をハの字にして俺を見つめていた。
ハァ・・・・
俺は深くため息をついて純に向き合った。
そして軽く純を抱きしめて・・・
「...行ってくる」
それだけ言って家を出た。