貴女は僕の運命の人ではありませんでした
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あと15分で仕事が終わる・・・
終わらせなきゃいけない仕事は1時間も前に終わらせた。
早く会社を出たい・・・
何度も時計をみたり、ネットで京都の天気を見たり・・・
またチラっと時計を確認。
・・・さっきからまだ1分しか経ってねぇ!!1分って60秒だったよなぁ?!
「...おい、伊東。さっきからソワソワしてどうしたんだ?小便か?行って来いよ...
っつうか、何だ?その荷物は...家出か?」
先輩が茶化すように話しかけてくる。
「あ...ちょっと出かけるんで...」
「そういえば、あす有休とってたもんなぁ~♪女と旅行か??」
「ハハハハ...まぁ...」
「にやけやがって...ドコ行くんだよ?」
「ヘヘっ♪京都に行こうかと...」
「京都かぁ...まさか訳あり旅行じゃないよなぁ?」
「なんすか?訳あり旅行って...?」
「浮気相手~とかだよ。不倫旅行とかって京都が多いらしいからさ~」
「...そうなんだ...?知らなかった」
「ほら、京都ってなんか奥ゆかしくて...落ち着く感じするだろ?なんというか、趣深いというか...いとおかし...的な?しんみりしたりで自分達のいけない想いに浸りやすいんだよ」
「...なるほど。先輩、なんか詳しいっすね。経験者っすか?」
「ば、バカっ!俺はただ聞いた話を伝えたまでだ!」
「...あ。時間だ。先輩、すんませんっ!俺帰りますんで!!お疲れさまでしたっ!!」
スポーツバッグを手にとって、すぐさま立ち上がる。
「はいはい、お疲れ~!土産は八つ橋でいいからな~♪」
「ラジャー」