貴女は僕の運命の人ではありませんでした
“彼女”の姿を見えなくなるまで見続けてから、俺はその場に座り込んでさっきのQRコードで開いたアドレスを携帯に登録した。
“彼女”は、秋原智香。
アドレスにbaseballとある事から野球好きだとわかる。
おまけにd-_-bなんてのもあるし、茶目っ気たっぷりなんだともわかる。
智香さんは、俺より二つ上の27歳。
肩下10cmくらいの栗色のストレートヘアー。
身長160cmくらいかな・・。ガリガリじゃない細身。
ちょっとだけたれ目っぽいけど、クリクリっとしてて、愛らしい。
野球の応援ばかり行ってるだろうに焼けていない白い肌。
何より・・・クシャっと笑う姿が、年上には思えない可愛らしさだった。
俺は、ハァーーーと深いため息をつく。
俺・・・智香さんに・・・一目惚れしたわ・・・。
その時、純の事なんて頭の片隅にもなくて、とにかく智香さんで一杯だった。
“今日はお疲れ様でした!また試合した時はよろしく!!伊東貴司”
そうメールを作って、何度も読み直す。
もっと絵文字とか使った方がいいか・・?
でも・・初メールだしなぁ。
絵文字が嫌いな人かもしれないし・・・。
なんて、乙女チックに悩んで、結局最初の文章で送信した。
メールを送るだけでドキドキするなんて。
早く返事来いっっ!!なんて思って、暫くの間、トイレの前で携帯を開けたり閉じたり・・を繰り返した。