貴女は僕の運命の人ではありませんでした
動き出す恋



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次の日。




朝起きて携帯を開く。





“おはよう!今日も試合かな?あたしは今からグランドに向かいま~す”




まさか智香さんからメールが来てるなんて思いもしなかったから、テンションが上がる。





早く水曜日にならないかな。


間近で智香さんと話がしたい。





その日、試合もなく一日中練習だった俺はずっと智香さんの事を考えていた。









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今日は日曜だから実家ではなく自宅に帰る。




・・・今日も純が来るのか。



智香さんとメールしたいんだけどなぁ。




そして夜10時にいつものように純が家に来た。




「二日ぶりぃ!たかちゃん!!逢えなくて淋しくなかった??」




俺の顔を見るなり抱きつく純。




「...純、わりぃ、寝てい?俺かなり疲れてるんだけど...」




抱きつく純の腕を持って、軽く引き離す。




だけど純は、「ヤダ...」とまたギュっと抱きついてくる。




付き合い始めはこういうのが可愛い・・なんて思った。




「...寝たいんだけど...」





「...ヤダ。ねぇ...たかちゃん...チュウしたい」





・・・正直、断りたい。




でも、今断ったら、きっと「なんで?なんで?」となるに違いない。





だから、仕方なく・・・チュっと純の頬に触れるだけのキスをした。


一瞬、純は“なんで口じゃないの?”って顔をしたけど、



「..俺、今口内炎あるから..」の一言で納得していた。





そりゃ、男だし。


性欲はある。





でも。



智香さんに会う前に、他の女・・・例え純にでもそういうことはしていたくなかった。

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