貴女は僕の運命の人ではありませんでした
・・・ブー・・・ブー・・・ブー・・・
やたら響くバイブ音にイラツキを覚える。
間違いなく、純だろう。
トモも俺の携帯がなっている事に気付いて、唇を離し携帯に目を向けた。
「貴司の携帯、鳴ってるよ?」
「...ん。知ってる。」
いつまでも鳴りつける携帯・・・
でも、俺はそんなの気にしないって感じにまたトモにキスをしようと顔を近づけると、
「...ちょっ...と待って...」 と、トモは俺の胸を両手で押した。
「何?キス避けられるとか、めっちゃ凹む...」
「...携帯ずっと鳴ってるよ?メールじゃなくて電話じゃない?」
「...ん。知ってるってば。」
「...出なくていいの?御両親とかかもよ?」
トモは伏し目がちに俺から少し離れてそう言った。
“御両親とか”の“とか”って、“彼女”を指してるんだろう。
「...あぁ。いいのいいの。俺はそんな電話よりトモとのキスの方が大事だから♪」
「...でも...」
・・・ヤバイ。このままじゃ、トモ、“やっぱり帰る”なんて言いかねない。
俺は携帯に手に取って、着信を確認した。
当然のように相手は純だったんだけど・・・
「...って。地元のツレからだったし♪」
そんな嘘をついた。
「え?!そうなの?」
「うん。だから...って言うのもあれだけど、また明日にでも掛け直すからいいよ♪
ってか、コンビニ行くか!!俺も喉乾いたし!!」
電話の相手にホッとしたのか、トモは「うん!コンビニ行ってアイス買おう!!」と、
俺の大好きなクシャっとした笑顔で言った。