貴女は僕の運命の人ではありませんでした
買ったばかりの指輪を綺麗な箱に入れてもらって、そのままデパートを出た。
“今すぐつけていかれますか?”って店員さんに聞かれたけど、それを拒否。
トモの指に最初にはめるのは・・・俺だし、それを誰かに見られたくなかったから・・・
軽く食事を済ませて、そのままホテルへ・・・
トモを抱きたいばかりだから・・・じゃなくて、早く指輪をしたかったから。
部屋に入り、どちらからともなく抱き合って、これ以上くっつきようがないって位キスをした。
なんだろう・・・
いつもと変わらないキスなはずなのに、物凄く気持ちが高ぶる。
そのままベッドになだれ込んで、お互いの指を絡め合わせた・・・
一瞬、唇を離し、上からトモを見下ろす。
上気して瞳が潤んだトモを見て、胸の奥から愛しさがこみあげる。
「トモ...俺、ホント...トモが好き...
好きで好きで好きで...たまらなくなる」
「...貴司」
「指輪しようか...」
一度トモをギュッと抱きしめて、俺は指輪の入ったケースを取りに行く。
そしてベッドの端にトモを座らせて、トモの左手をゆっくりとり、
ゆっくりとその華奢な左手の薬指に指輪を通した。