貴女は僕の運命の人ではありませんでした
「...え?!」
トモが一瞬にして顔を強張らせ、俺も身体の力が入らなかった。
「たかちゃん?!今女といるんでしょ?!なんとか言いなさいよ!!」
・・・なんで?
マナーモードにしたつもりが、他のボタンを押してしまってスピーカーモードになったのか?!
俺は直ぐにポケットから携帯を取り出し、そのまま電源を落とした。
トモに背を向けたまま、「...ごめん。変な事聞かせちゃって...」と言うのが精一杯で・・・
トモは俺のそんな言葉に何も応えてくれなかった。
ただ、衣類を身にまとう音が聞こえてくる。
俺も無言で脱ぎ散らかした衣類をゆっくりと身につけていった。
着替えが済んでから、トモの方を見やる。
車内の暗さに目が慣れてきているから、トモの姿がよく見える。
でも。トモは俯いているからその表情までは見えない。
「...トモ?今...俺の話聞ける?」
「...トモ?」
何度声を掛けてもトモは無言で俯いたままだった。