貴女は僕の運命の人ではありませんでした
「...もう無理だよ」
やっとトモの口からでた言葉がひんやりと届いた。
「...無理って...?」
「...もう貴司とは付き合えない...」
「え...ちょっと待って...どうしてそうなるの?」
「...あたしには...彼女から貴司を奪うなんて出来ないよ。
彼女...あたし以上に貴司を好きなんだと思う...
そんな彼女から貴司を奪えない...」
「...トモ...?でも俺の気持ちは彼女にじゃなくてトモにしかないんだってば!!」
「...あたしの彼氏...何度も浮気してるけど...結局はあたしに戻ってきてるの。
どんな浮気相手が出来ても、絶対にあたしに別れようなんて言わないの...
貴司...きっと彼女に足りないものをあたしで埋めてただけなんだよ。
それを愛してるって勘違いしてたんだよ...」
「違う!!!それは絶対にないよ!!俺はトモにしかこんな気持ち持ってないし、彼女に足りないものをトモで埋めてたなんて有り得ない!!」
「...彼女のあんな声聞いちゃったら...もう無理だよ。
あたしだって...貴司を好きになってた...でも...人を悲しませてまで一緒には居られない...」
「...ふざけんなっ!俺の気持ちは俺にしかわかんねぇじゃん!!
俺にはトモしかいないんだってば!!わかってよ!!」
「だったら!!なんでもっと早く彼女と別れなかったの?!
あたしと付き合うってなる前になんで別れてないの?!
あたしに振られても戻れる場所をキープしてたんじゃないの?!」
「...そんな風に思ってたんだ...?」
「そりゃぁ...貴司の気持ちはわかってるつもりだったよ...
彼女よりもあたしと過ごす時間が多いのもわかってたし...
でも...でも...」
「......」
「...なんでいつも...きちんとアイロンされたカッターシャツ着てるの?
クリーニング屋さんがしたアイロンじゃないってことぐらい見たらわかるよ...
...なんでいつも柔軟剤のいい香りさせてるの?
...なんで気持ちも無いような彼女に洗濯させてるのよ!!
なんで気持ちも無いのに彼女を家に入れてるのよ!!」