貴女は僕の運命の人ではありませんでした
着いた先はチェーン店の和食屋。
一応、初デートだし俺なりにリサーチはしてたんだけど、どうしてもここのカツ丼が食べたい・・らしく。
店に入り、テーブル席に案内されて、向かい合って座る。
すぐに注文を終えて、おしゃべりタイム。
マジマジ見ても・・・可愛い・・・ってか、綺麗。
身振り手振りで一生懸命話す姿が本当に愛らしい。
「...って、伊東君聞いてる?!?!」
「え?!ちゃんと聞いてるよ。2アウトの時でしょ??」
「そそ!!2アウト満塁、フルカウントでね、」
・・・ダメだ。智香さん見てるだけで腹一杯になっちゃいそ。
「あ..そうだ。伊東君って彼女と住んでるの?」
思わず飲んでた蕎麦茶を吹き出しそうになる。
「...何?急に...同棲はしてないよ?毎日寄るに来るけど...」
「えーーーー!?毎日来るなら一緒に住んじゃえばいいのに...」
「.........」
智香さんからそういう話聞きたくない。
俺は思わず黙ってしまった。
「...って、私も毎日彼氏と会ってるけど、同棲したいとは思わないんだよねぇ...」
「...何で?ラブラブなんでしょ?」
「仲はいいよ!でも、一緒に住むと嫌なところ見えてきそうだし。って、そんなんじゃぁ、結婚できないか...伊東君は結婚しないの?」
「...結婚かぁ。なんか、正直今の彼女と結婚しちゃっていいのかなぁって思う時あるんだよね。今毎日俺の家に来てるけど、頼んでもないのになんで来るんだ?とか思っちゃうときあるしさぁ」
「...恋愛と結婚は違うっていうしね。難しいねぇ...」
“智香さんとなら毎日逢いたいけど...”って言おうかとした時、「お待たせしました!」とタイミングよくカツ丼が来た。