貴女は僕の運命の人ではありませんでした



そんな風にニッコリされたら勘違いしちゃうよ。


俺は、スッ・・・と智香さんの右手を取った。




「...危ないから...足元だけ気をつけてね?」




「え?...あ...うん...アリガト」




初めて触れた智香さんの手は・・・華奢で、小さくて、ひんやりしてる。


さり気なく手を繋いでみたつもりだけど・・・心臓バクバクで段々と手が汗ばんでくる。




少し歩いた頃、はじめは手を掴まれただけの智香さんも少しだけ俺の手を握ってくれていた。


・・・この手、離したくねぇ・・・



チラっと左の智香さんを見ると、バチっと視線が合った。


照れ隠しに 「手、ちっちゃ!!」 とか言ってみたりして・・・




「違うよ、伊東くんの手が大きいんだよ?ホラ!」


・・と、智香さんは立ち止まって手を広げて俺の手に合わせてきた。




「...ねっ?」



「...そっかな...」



“...ねっ?”という仕草がホント可愛くて・・・たまんなくて。



俺は、合わせていた指をちょっとずらし、そのまま指を絡めるようにギュッと握った。




お互い無言で、その“カップル繋ぎ”でしばらく進むと、一番夜景が綺麗なポイントに着く。




「わぁ!!さっきも凄かったけど、ココはもっと凄いね♪」



智香さんはサラっと俺の手を離すと、手すりにまで行ってしまった。




・・・あっさりと、手・・・離されてしまったし・・・。


軽くショックかも・・・



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