貴女は僕の運命の人ではありませんでした

唇を離し、目の前の智香さんの存在を確かめるようにギュっと力いっぱいに抱きしめる。


・・・智香さんとキスすると・・・


・・・好きな人とキスすると・・・


人間って、こういう気持ちになるんだ・・・と初めて知った。




ドキドキ・・とかのレベルじゃない。


愛しくて愛しくて・・・


さっきよりも強くギュっと抱きしめて、｢はぁーーーーー｣っとため息。





｢い、伊東くんっ！！くるしい...｣




｢それくらい我慢してよ...｣




そしてまた、｢はぁーーーーーーーーーー｣っと長いため息をつく。




｢ため息なんかついてるし...｣




｢...ん？あ、勘違いしないで？悪いため息じゃないから。｣




｢プッ！！何それ？｣




｢智香さんを好き過ぎて...おかしくなりそ...ってため息と...｣




｢...と？？｣




｢...好きな人とキス出来て、抱きしめる事が出来て...幸せ感じてるってため息...｣




｢...でもさぁ、ため息すると幸せが逃げるって言わない？？｣




｢ウゲッ！そうだった...でも、幸せ逃げたら...また捕まえるから大丈夫だし♪｣




そう言って、またチュっと不意打ちにキスをした。