貴女は僕の運命の人ではありませんでした
6月28日



実家の駐車場に着いて、携帯を見る。


爆睡宣言した智香さんからもしかしたらメールがあるかも・・・って思って。




チカチカとメール着信を知らせるランプが点滅してるのに気付いて、携帯を開ける。




“たかちゃん、お疲れ様♪明日は試合?練習?たかちゃんに会いたいよぉ”





・・・純と・・・これからどうしようか。


いつまでも現状維持って訳にもいかないし。


俺の気持ちは純には向いていない。


智香さんにしか向いていない。


・・・智香さんは別れたりしないでって言ったけど・・・


・・・別れなきゃダメだよな。




俺は純に返信する事なく、携帯を閉じた。




「ただいまぁ...」



玄関にドサっと野球の荷物を置いて、二階の自分の部屋に行こうとした時、


リビングから母親がヒョコっと顔を出した。




「おかえり~...遅かったねぇ。あ!夕方連絡あって、明日練習試合しませんかって!」




「練習試合?ドコのチーム?」




「この間試合したトコ...なんだっけ...ナントカボーイズ...だったかな?」




「え?!もしかして...ゴールデンボーイズ?!」




「あぁ!!そうそう!!そんな感じ♪なんか、明日午前中にこっち方面で試合があるらしくて、その帰りにいかがですか?って。貴司の携帯を向こうの監督さんに教えておいたから、また明日連絡来ると思うから、携帯注意しておいてよ?」



「あ...あぁ。わかった...」





俺の母親は、うちのチームの事務局を任されている。


試合の日程の調整や、練習試合の申し込みは母親が全て受けていた。


・・・そして。そのゴールデンボーイズっていうのが・・・智香さんのチームで。



自分部屋に入るなり、すぐに智香さんにメール。




“明日、うちのチームと練習試合するらしいよ!!やったね♪また智香さんに逢えるし♪ ”



おそらく、もうすでに爆睡しているんだろう。


その日は返信はなかった。




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