貴女は僕の運命の人ではありませんでした



「智香さんっ!!」




駐車場で智香さんの姿を発見して声を掛ける。


智香さんは言われたとおり、山瀬さんの財布と携帯を手にしていた。




「...伊東くん」




なんとなくバツが悪そうな顔をしている・・・


追いかけてきたはいいけど・・・どうしたらいいかわからない。






「...さっきの彼氏?」




「...うん」




「...かっこいいね、彼氏。ありゃぁ、モテるわ。」




「......」




「...ねぇ、智香さん。今日の試合...彼氏、監督するんでしょ?」




「...うん、そうみたい。」




「試合するのは子供達だけど...俺対彼氏..みたいなもんだよね。」




「...それは違うでしょ...」




「違わないよ?俺、絶対負けないから。試合もだけど...智香さんのことも。」




「...っちょっ!伊東く...」





俺は、車の陰に智香さんを引っ張りこんで抱きしめた。




「...伊東く...誰か来ちゃうよ...」




「来ないよ...多分だけど。ねぇ、キスしていい?」




「え?!ちょ...ここで...?!...っんっ...」




・・・だって、リアルに彼氏見ちゃったんだもん・・・いい気はしないでしょ?


・・・絶対負けないから・・・俺。




抱きしめたままの深いキスを終えると、



「もぉっ!!伊東くんのバカっ!!こんな所でしなくても...」と、真っ赤になった智香さんがキョロキョロしながら言った。




「ごめんごめん!智香さん見てると好き過ぎて触れたくなっちゃうから...っつうか、こんな所って...じゃぁ、ドコならいいの??」



・・なんて意地悪な事を言ってみたり。




「知らないし!!ってか、もう行くね?!」




そう言うと智香さんは真っ赤なままグランドに戻って行った。





・・・あぁーーーーもっと智香さんと一緒にいたい。



っつうか、今日、絶対勝ってやろっと・・・





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