貴女は僕の運命の人ではありませんでした
トイレの入り口まであと20m・・・って所で
また俺の心臓がこれでもかってくらいに暴れだした。
“彼女”がトイレの前の水道でペットボトルを洗っていた。
・・チャンス・・?
俺は少し早歩きで、“彼女”に近付いた。
「..お..お疲れ様です!!」
俺のその声にゆっくりと振り返り、そして、またクシャっとした笑顔で言った。
「あ...ビックリした..お疲れ様です!!」
だから。その笑顔・・・ヤバイっしょ。
そう思いながらトイレに向かおうとした瞬間、“彼女”から話しかけられた。
挨拶だけでスルーになると思ってたから、不意な事で軽くテンパる。
「監督さん、お若いですね。お幾つですか?」
「え?!..あ..俺っすか?俺、25です。」
「うわっ!!マジっすか!私の2コ下なんだぁ?!若い!!凄い!!」
俺が年下だとわかったからか、急にフレンドリーに話す彼女。
きっと普段からこんな感じなのかな・・・
「ハハハ...あ、お子さんがチームにいるんですか?」
「ううん、いないよ!ってか、結婚してないし。」
「そうなんだ?え?じゃぁ、なんで試合に来てるの?」
“結婚してない”って言葉に心の中で小さくガッツポーズ。
・・・でも、次の彼女の言葉でソレはなかったことになった。