Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
「昴先生は大切な人、いますか?」

『いるよ』

「患者さん何て答えはダメですよ」

『患者さんも大切だけど、身近な人でってことだよね?』



昴さんの表情は穏やかで、心の中にとても大切に想っている人がいるんだなと思った。



『血の繋がりで言えば家族、そうじゃなければ彼女かな』

「彼女……」

『研修生ではなく、医者になれたら結婚する約束をしているよ』

「素敵ですね」



私の言葉に笑顔で返してくれる昴先生。


だけど、次の私の言葉で昴先生の顔からは笑顔が消えてしまった。










「自分のせいで大切な人を失ったことがありますか?お母さんは私のせいで死んだんです」






< 137 / 253 >

この作品をシェア

pagetop