Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
外に出られない窮屈さと、友達と遊べないことの苛々、病気に対する不安……。


とにかくいろんな負の感情で私の心は覆われていた。


今思えば、もともとワガママな性格だったのに、病気のせいで更に輪をかけてワガママになっていたと思う。


それでもお母さんは私を叱ることなく、いつも笑顔で「しょうがないなぁ」と言ってワガママを聞いてくれていた。


ただ、そんなお母さんの優しさにいつからか苛立つ様になってしまった。



「まだ、手術受ける気にならない?怖いし不安だろうけど、このままだと病気が進行してしまうのよ?」



両親から手術の話はされたが、その後の治療については一切触れられなかった。


それほど辛いものなんだと子供ながらに思った。



「手術…受けてもいいよ」

「本当?」

「その代わり、明日1日だけ限定で発売される、私の好きなキャラクターのクマのぬいぐるみ買ってきてくれる?」

「勿論よ!!約束よ?」

「うん、約束」



薄っすらと目に涙を溜め、満面の笑みのお母さんと指きりを交わした。


買ってきてくれても手術を受ける気なんて起こらないと思う…ただむしゃくしゃしていただけ……。


まさかこれが最後になるとは思わなかった……ねぇ…お母さん…どうして………。





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